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痔核3 内痔核の治療法(1)

本文中の図の解説方法
  1. 内痔核の治療
  2. 内痔核 保存療法
  3. 内痔核 硬化療法
  4. 内痔核 結紮療法
  5. 内痔核 内視鏡下結紮療法
  6. 内痔核 冷凍療法
  7. 内痔核 レーザー照射療法
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内痔核の治療には保存療法と手術療法があります。手術療法には、メスを入れて切り取る観血療法と切らずに治す非観血療法があります(右図1マウス)。

内痔核を含め、肛門疾患の多くは良性です。それぞれの病状について、過不足のない治療を考えることが大事で、「内痔核だからこの手術しかない」というのは誤りです。最小限の治療で最大の効果をめざすのが、一番重要なわけです。

このページでの治療法は、外来あるいは日帰り手術で対応ができます。

保存療法

くすりは坐薬や軟膏と、便通や肛門周囲の血流をよくする飲み薬を併用します。症状にあわせて坐薬や軟膏は数種類つかいわけます(右図2マウス)。

内痔核も程度の軽いものならば、ほとんど手術をしなくても症状がとれます。まずは日常生活を改め肛門の安静を保ちます(具体的には「痔核2 痔の予防」を参照してください)。

ただし内痔核も中等度以上になれば やはり保存療法では症状の改善が期待できません。最近は新しい硬化療法をはじめ 負担の少ない治療法も増えていますので よく肛門科の先生とご相談されることをお勧めします。

硬化療法

内痔核は静脈のこぶなので、この静脈内に血管が固まる薬を注入する方法(右図3マウス)です。一般的に使われるのは、フェノールアーモンド油です(ジオン注も硬化療法の一種)。

とくに出血するような痔核に有効ですが、頻回に注入すると将来手術がむずかしくなりますし、あまり大きい痔核は治りません。

手技の実際

外来でするときは肛門鏡でながめながら、痔核の根本へ注射をします。痛みはあまりなく、患者の負担が小さいのが利点です。ただし、痔動脈とその周辺を硬化させるのですが、効果はおよそ1,2年とされています。

なお、新しい硬化療法については、内痔核の非観血的治療の補足の頁、「ジオン注について」を参照してください。中国の薬をアレンジしたもので、使い方は難しく合併症に注意しなければなりませんが、成績は従来の硬化療法よりはるかに優ります。

導入されてから国内での施行例も厖大となり その手技の簡易さと合併症の少なさ、効果発現の早さより、頻用されています。今や施設によっては 内痔核治療のファーストチョイスとなりました。ただし、適応を誤ると 術後すぐより再発する恐れもありますので 主治医とよくご相談してください。

結紮療法

内痔核は静脈のこぶなので、この根本を輪ゴムでしばって血流を止め、脱落させる治療(右図4マウス)です。輪ゴムで縛ってから脱落するのには3-7日くらいかかります。この間は下痢や便秘をしないようにしなければいけません。ゴムを掛けて直ぐから脱出の程度が軽くなります、外来で無麻酔での施行も可能です。

手技の実際

肛門鏡下に、患部をゴム輪の中へひきずりこんで、輪ゴムをその奥へおくりこみます(外来では1カ所ずつ)。本来はあまり痛みがない治療ですが、皮膚近くに輪ゴムがかかるとひどく痛みます。

変法として、内視鏡で輪ゴムをかける方法があります(内視鏡下内痔核結紮術 右図5マウス)。

輪ゴムをつけた帽子を内視鏡の先端にかぶせ、吸引して輪ゴム内へ内痔核をひきこみます。その後、輪ゴムを押し込んで内痔核のクビをしばるわけです。食道静脈瘤の治療(EVL)を応用したものですが、保険適応外です。肛門鏡を見ながら縛るよりも 内視鏡で観察しながら縛るほうが良い、という説も当初見受けられましたが 治療の根本はなんら変わりません。深く縛っても排便すればずれてしまい、早期に脱落します。費用と治療効果を比べれば、残念ながら高額の保険外診療する意味に乏しい治療法と思われます。

冷凍療法

肛門の粘膜越しに内痔核の痔静脈をしもやけにして小さくする方法(右図6マウス)です。メスを入れず痛みがないので、ひところ流行しましたが、どのような内痔核でも治せるわけではありません。

冷凍された痔核は固くなって縮小し、独特の線維化をおこします。重症の痔には向きませんが、適応を考えれば(中等度までの痔核については)優れた治療法です。ただし 冷凍療法の機器の生産は終了しており、残念ながら積極的に採り入れている施設は減っています。

手技の実際

麻酔をかけて肛門の緊張をとり、肛門鏡でみながら冷した端子をあてます。術後しばらく1週間ほどは、患部はしもやけのように腫れて周囲がしめりますが、その後は腫れが引いていきます。

半導体レーザー照射療法

肛門粘膜と粘膜下痔核をレーザー照射して熱変性させる治療法(右図7マウス)です。表面の粘膜が奥にある痔核よりもダメージが大きいことが難点でしたが、色素注入併用で改善され、現在注目の治療法です。

傷の痛みが少ないことと、術後出血が少ない点で評価されつつあります。

手技の実際

麻酔をかけてから、まず痔核の状態を確認します。脱肛の程度が軽い人、内痔核は小さくてもたびたび出血する人はよい適応です。まず痔核内に緑色の色素(ICG)を注入します。そのあとで痔核へ半導体レーザーを照射するだけです。白く熱変性をすることが確認できれば手術終了です。

内痔核根治術(結紮切除術)

内痔核根治術(結紮切除術)については、項を改めて内痔核の治療法(2)で記しています。ご参照下さい。

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