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大腸ポリープ1 分類と診断

本文中の図の解説方法
  1. 大腸ポリープの分類
  2. 大腸ポリープの形態による分類
  3. 大腸内視鏡の適応
  4. 大腸内視鏡 前処置
  5. 大腸内視鏡 挿入手技
  6. 大腸内視鏡 体位変換
  7. 大腸内視鏡 腹部圧迫

大腸ポリープは「大腸の内腔へ突出した限局性隆起」つまり、大腸の内側へとびだしたコブです。正確に言うと、大腸のいちばん内側の層、粘膜からでてきたものをさします。いろいろな種類があり、治療の必要性もそれぞれ異なります(図1マウス)。

大腸ポリープの分類

組織型による分類

大腸ポリープには腫瘍性のポリープとそうでないポリープがあります。腫瘍性のポリープには腺腫(せんしゅ)があり、治療が必要です。いっぽう、非腫瘍性ポリープには若年性ポリープ、過形成ポリープ、炎症性ポリープがあります。ポリープが多発する状態をポリポーシスとよび、遺伝するものと遺伝しないものがあります。

とすると、内視鏡をしているときに、ある程度は組織診断をつけないと、治療の要否を確認できないわけです。大腸内視鏡医が検査時に何を考えているか、詳しく知りたい方は大腸ポリープの診断 補足の頁を参照してください。

形態による分類

茎の大きさや長さで有茎性、亜有茎性、広基性と分け、明らかな茎がないものは表在性とよびます(図2マウス)。内視鏡で切除するときに、形態によりおこりうる合併症の頻度にも違いがあります。

症状

大腸ポリープの症状は?逆に言えば、どういうときに大腸ポリープを疑い検査をする必要があるのでしょうか?大腸ポリープに特徴的な症状はなく、むしろ大腸癌を疑い検査をして見つかる、という例が多いです(図3マウス)。

  1. 原因不明の腹痛があるとき=特に下腹部を中心としてしぶる痛みのとき
  2. 明らかな便通の変化があるとき=ふだん便秘の人が下痢しやすくなったとき、ふだん下痢しやすい人が便秘するとき
  3. 明らかな出血が便に混じるとき=とくに便が赤黒いときや、痛みを伴わず真っ赤な出血が多いとき
  4. 便潜血検査(大腸癌検診)が陽性のとき=+でも++でも+++でも検査の必要性は同じ
  5. 血のつながった方で癌患者が複数いるとき=とくに大腸癌患者が2人以上いるとき

ポリープは小さなものではほとんど症状がありません。便潜血反応陽性や腹痛、血便などの精密検査で発見されるものがほとんどです。

検査

いまは内視鏡検査が第一選択です。以前はバリウム注腸検査もよくおこなわれていましたが、どうしてもバリウムは影を見る検査で曖昧な結果しか出ません。放射線の被曝がありますし、なにか病変を疑えば結局は内視鏡となりますので、いまではバリウム検査の頻度は非常に少なくなっています。

ただし、リスクが高かったり、腹膜炎の手術や放射線治療後で腸管の癒着が激しいことが予測されるときは、下部大腸のみ内視鏡で検査し、それより口側は注腸検査をすることもあります。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡はいぜんは2人法といってレントゲン透視を見ながら二人羽織のように2人で大腸ファイバースコープを操っていました。今では内視鏡医一人、レントゲンなし、電子内視鏡が一般的です。

内視鏡検査の実際

  • 検査前日に下剤を服用
  • 検査当日朝から腸内洗浄剤を服用(2リットルのむのが通常)
  • 検査直前に肩に腸の動きをおさえる筋肉注射
  • 軽い麻酔薬を静脈注射(図4マウス
  • 左側を下に横になり検査開始(図5マウス
  • 検査中挿入困難なときは体位を変換(図6マウス 上向き、右側下など)
  • 腸管が過長で挿入困難なときは腹部を適宜圧迫(図7マウス
  • よく観察しながら内視鏡抜去

内視鏡を肛門から盲腸まで挿入するまでの時間は大腸の長さや、以前におなかの手術をうけているかどうか、内視鏡医がベテランかどうか、などで違いますが、標準は10分が目安でしょう。

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