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裂肛1 裂肛の診断

本文中の図の解説方法
  1. 裂肛 症状
  2. 裂肛 好発部位
  3. 裂肛 性差
  4. 急性裂肛 出血と腫れ
  5. 急性裂肛 痛みの特徴
  6. 慢性裂肛の病変
  7. 慢性裂肛 出血と腫れ
  8. 慢性裂肛 痛みの特徴
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裂肛(れっこう)は肛門粘膜や皮膚がさける病気で、ぞくに「きれ痔」とよばれています。痔核、痔瘻とあわせ肛門3大疾患とされています。

裂肛の原因

便秘で便が固く太くなると、排便するときに肛門の皮膚が伸びきってさけます。裂けると痛いので次の便が怖くなり辛抱する(括約筋がけいれんする)、するとまた便が固くなって裂ける、この悪循環がつづくと慢性の裂肛となります(図1マウス)。

同じ箇所が何度も裂けると治るときにひきつれてきて、肛門が狭くなります。また、肛門の内外にしこりが出来てきます。そうすると、さらに便が出しにくくなり、裂肛が難治性となります。

裂肛は時計でいう12時と6時に好発します(図2マウス)。とくに肛門の後方は毛細血管が少ないためにおこりやすい、と考えられています。もともとが便秘の人に起きやすいので、男性よりも女性に多い病気です(図3マウス ちなみにあな痔=痔瘻は男性に多い)。

便秘が原因となるので、若い人にも多くみられます。乳幼児でも固い便が出るときに出血し、ひどく痛がります。子供は特に痛みを覚えると便を辛抱してしまい、さらに便が固くなる悪循環になると困ります。水分を十分に与えてよく遊ばせるなど、排便習慣を整えるのが大事です。

症状

裂肛の症状は急性期と慢性期でちがってきます。急性期は「排便するととても強くて紙に真っ赤な血がついています。シャワートイレで洗うとしみる感じがあって、しばらくはズキズキと肛門まわりが痛くて痛くて」というのが典型例です(図4マウス,図5マウス)。

慢性裂肛の3大症状は(a)肛門ポリープ (b)肛門潰瘍 (c)皮垂=肛門皮膚のたわみです(図6マウス)。「昔から便秘がちだったのですが、このごろさらに便秘がひどくなり、太い便が出なくなってきました。また、トイレへ行った後は肛門まわりが飛び出して、毎回自分で指で収めています。」となれば、りっぱな慢性裂肛です。

慢性裂肛にできる肛門ポリープは、炎症により生じる良性ポリープですから、大腸ポリープと違いまず悪性化しません。ただ、大きくなると排便するたびに外へ飛び出して痛むようになります。

慢性になると、排便後もズキズキと痛むようになり、半日ひどく痛むこともよくあります。また、皮垂はよく「見張りイボ」と呼ばれる肛門皮膚のたわみです。(図7マウス,図8マウス

鑑別診断

典型的な症状をもつ裂肛の診断は簡単です。新鮮出血するような病気では内痔核や直腸炎、直腸癌も考える必要はあります。痛みはしみる感じや強い痛みが、排便後よりしばらく続くことが特徴です。

排便後飛び出すしこりは、内痔核、直腸ポリープ、直腸脱なども考えなければなりません。脱出する病気は何であれ手術を必要としますので、肛門科を受診しましょう。

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