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大腸炎12 過敏性腸症候群

本文中の図の解説方法
  1. ストレスと大腸炎
  2. ストレスと大腸炎のいろいろ
  3. 過敏性腸症候群の症状
  4. 十分な休息と睡眠

慢性的に腹痛や腹満をともなった便通異常があっても、明らかな器質性病変が見あたらないときにつく病名です。ストレスの多い社会で20−30代の人に増えている「現代社会病のひとつ」です(図1マウス)。

その昔は、過敏性大腸といっていましたが、実は小腸など他の消化器官の運動にも異常があることがわかり、「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)Irritable Bowel Syndrome=IBS」となりました。

原因

腸も神経で動いていますので、ストレスがかかったときに心因反応として腸の動きに異常をきたします。自律神経失調症が大腸にあらわれたもの、と考えられています(図2マウス)。

夜間にはまずおこらず、朝に多い傾向があります。これから学校や職場に行こう、という時間帯に多いものの、夜間にはあまり症状が出ないのも特徴です。

症状

腹痛、膨満感ののち、突然に便意をもよおして下痢がおきます。便意がつよく、トイレに間に合わないこともあります(慢性下痢型)。この慢性下痢型が一番多いのですが、これ以外にも、排便前後に強い腹痛があり大量の粘液を分泌する粘液分泌型、便秘と下痢をくり返す不安定型もあります。(図3マウス

いずれも、これらの症状は排便をすますと(一時的に)症状は軽くなります。逆にストレスがかかると悪くなるのも特徴です。

診断

腹痛あるいは腹部不快が過去1年のうち少なくとも3ヵ月以上で 、下記の3項目のうち2項目以上に当てはまったときです。

  • 排便により軽快する腹痛、腹部不快がある
  • 腹痛を伴う頻回の排便ではじまる
  • 腹痛を伴う軟便、下痢また、粘液便をみとめる

ただし、以下の病気、病態が否定されなければなりません。

過去一年間の大きな体重減少(5%以上)、消化管出血、牛乳不耐症、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、大腸がん、消化管寄生虫病

これらの除外診断には大腸内視鏡や便潜血検査を消化器内科で受ける必要があります。心療内科の受診も望ましいですが、順序としてはまず胃腸科、消化器内科が先です(自己判断でIBSと診断するのはいけません)。

治療

日常生活では脂肪分の多い食事、アルコールや刺激物をさけること、休養と睡眠を十分にとって規則正しい生活をすることが重要です(図4マウス)。

下痢や便秘については対症的に薬物(整腸剤や腸管運動を整える薬)を投与します。また、抗不安薬や抗うつ剤も有効です。それでも改善がみられないときは、心療内科でのカウンセリングが勧められます。

いずれにしても、短期間で症状が劇的に改善することは少なく、気長にあせらず気持ちをゆったりもつことです。

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