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大腸癌5 結腸癌の手術

本文中の図の解説方法
  1. 大腸癌手術の原則
  2. 人工肛門の有無
  3. 大腸癌の皮膚切開
  4. 大腸癌の剥離
  5. 大腸癌の動脈支配
  6. 結腸癌の切除範囲
  7. 結腸の吻合方法
  8. 手縫い、器械吻合

大腸癌は胃や肝臓などその他の消化器癌とくらべると治りやすい癌です。また、大腸癌の診断、治療は近年急速に進歩しています。

大腸癌の治療でもっとも効果が期待できるのは外科手術です。まずは標準的な結腸癌の外科治療について、解説しましょう。

外科治療の原則

癌は発育するとリンパ節に転移しますので、癌の周辺で転移する可能性があるリンパ節を腸といっしょに切除します(リンパ節郭清=かくせい)。いっぽう、良性では問題になる個所の腸管だけを切除します。良性の大腸疾患と悪性の大腸癌では、同じ長さの腸を切除してもその内容は大きく違います(図1マウス)。

癌がどれだけ進んでいるかで、転移するリンパ節の範囲が変わりますので、過不足のない範囲を切除します。全体のバランスをとることが重要で、たとえば遠隔転移があるときにはリンパ節をたくさん郭清することはありません。

基本的には結腸癌の手術では切除した後の腸と腸をつなぎます(図2aマウス)。ただし、癌がもとで腸閉塞を起こしたり、腸に穴が開いて腹膜炎になったりしているときには救命を第一に考えて、肛門側の断端は閉じ口側の腸管を人工肛門としてお腹の上にだすことがあります(図2bマウス)。

結腸癌の手術

皮膚切開

結腸癌を切除するためにはいろいろな皮膚切開があります。代表的な切開法を示します(図3マウス)。

  • 盲腸癌 右傍腹直筋切開
  • 上行結腸癌 正中切開あるいは右傍腹直筋切開
  • 横行結腸癌 上腹部正中切開あるいは左右腹直筋切開
  • 下行結腸癌 正中切開あるいは左傍腹直筋切開
  • S状結腸癌 下腹部正中切開あるいは左傍腹直筋切開

近年は早期癌については腹腔鏡補助下大腸切除術をおこないます。これは腹腔鏡で見ながら大腸を剥離して血管を処理するものです。

剥離とリンパ節郭清

上行結腸と下行結腸は後腹膜にくっつき、横行結腸には脂肪の膜(大網=たいもう)がついています。ですから、大腸を切除するためには、まずは大腸の周囲をはがして(剥離=はくり)腸をブラブラにします(図4マウス)。

腸を切除する長さは、癌から5cm以上10cm未満の距離をとります。

リンパは動脈にそって逆向きに流れています。リンパ節郭清とはどの動脈を処理するか、ということです(図5マウス)。代表的な手術と処理をする動脈をしめします(図6マウス)。

  • 盲腸癌および下部上行結腸癌 回結腸動脈根部=回盲部切除
  • 上行結腸癌および右側横行結腸癌 回結腸動脈、右結腸動脈根部中結腸動脈右枝根部=右半結腸切除
  • 中央部横行結腸癌 中結腸動脈根部=横行結腸切除
  • 左側横行結腸癌および上部下行結腸癌 中結腸動脈左枝、左結腸動脈根部
  • 下行結腸癌(下部)S状結腸癌(上部)左結腸動脈、S状結腸動脈第1枝根部
  • S状結腸癌(中下部)S状結腸動脈第1、2枝根部=S状結腸切除

腸吻合

結腸と結腸のつなぐ向きには、腸の端と端をつなぐ方法と横と横をつなぐ方法があります。もちろん、生理的には端端吻合が自然です(図7マウス)。

また、むかしは針と吸収糸をつかって手で縫っていましたが、最近は「腸と腸をつなぐカッター付きホッチキス」を使う器械吻合が主になっています(図8マウス)。

器械吻合の利点としては

  • 術者による巧拙が少ない
  • 吻合時間が短い=手術時間が短くなる
  • 合併症の頻度が少なく、手縫いと遜色ない

があげられます。血流と吻合部の緊張に注意すれば、いずれも安全で合併症が非常に少ない吻合です。

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