新しい大腸癌組織分類について

従来の組織分類との違い

胃癌など、ほかの消化器癌との整合性を図ろう、というのが眼目です。

  • 旧分類
    • 腺癌 adenocarcinoma
      1. 高分化腺癌 well
      2. 中分化腺癌 mod
      3. 低分化腺癌 por
      4. 粘液癌 muc
      5. 印環細胞癌 sig
    • 扁平上皮癌 scc
    • 腺扁平上皮癌 asc
  • 新分類
    • 腺癌
      1. 乳頭腺癌 pap
      2. 管状腺癌
        • 高分化型 tub1
        • 中分化型 tub2
      3. 低分化腺癌
        • 充実腺癌 por1
        • 非充実腺癌 por2
      4. 粘液癌 muc
      5. 印環細胞癌 sig
    • 扁平上皮癌 scc
    • 腺扁平上皮癌 asc
    • 内分泌細胞癌 ecc

欧米との組織分類の違い

組織の分類を考える上で、「分化度」という概念があります。これは、その癌が発生した背景となる顔(組織)にどれだけ似通っているか、ということです。高分化癌から低分化癌になるにつれ、本来の大腸粘膜からほど遠い人相というわけです。

一般に、組織の分化度と予後は相関します。つまり、分化度が低い(人相が悪い)癌ほど、手術した後の成績が悪い(予後が悪い)のです。

大腸癌に限らず、癌はある程度の大きさになれば癌全体の分化度が均一ではなくなります。部分により高分化なところ、低分化なところが混在するわけです。このような場合、日本では組織所見としてもっとも優勢なものを評価します。一方で、欧米ではもっとも分化度が低い部位を評価します。

蔟出=tumor budding

組織学的な予後因子として最近注目を浴びているのが、蔟出=tumor buddingです。これは癌の先進部で出現した低分化領域で、認められるとリンパ節転移をおこしやすく、予後に影響するとされています。

内視鏡治療が進歩し、従来なら何も疑わずに手術して腸を切っていた症例でも、最近は内視鏡での治療が試みられています。内視鏡切除をした後で、将来の再発を疑い外科的な追加治療=手術をおこなうかどうか、を判断する一つの材料とされつつあります。

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